秘密のカレはＶ(ヴィジュアル)系
＊



「璃愛～！」

次の日のお昼前に、私はさゆみとの待ち合わせの場所に向かった。



「もうっ！今は望結だよ。」

「あ、そっか。
でも、私はエミリーだもん。
あ…こっちにね、良いお店があるんだって。」

さゆみは昨日と同じ格好で、相変わらずウィッグもかぶってた。
こういう時、呼び方はどうなるんだろう？と、私はつまらないことを考えた。



「あ、あそこだ！」

そう言うと、さゆみは小走りで走り出し、私もそれについて急いだ。



キラさんが教えてくれたという小さなカフェに入り、私達は日当たりの良い窓際の席に座った。

「あたし、本日のランチセットにしようっと。
本当、かなりのボリュームだね。
デザートもついてるのに安い！
璃愛はどうする？」

「うん、私も同じのにする。」

メニュー表を元に戻して、私はお冷をごくりと流し飲む。



「ねぇ、昨夜はどうだったの？」

「うん、とっても良くしてもらったよ。
夜食も作ってもらったし、瑠威の写真もいっぱい見せてもらったし、遅くまでいろんなこと話してすごく楽しかったよ。
シュバルツのこともいろいろ教えてもらったんだぁ。」

「そっか、良かったね。
キラさんも呼んだらよかったのに…」

「うん、私もそう思ったんだ。
昨夜のお礼にせめてランチくらいご馳走したかったんだけど、キラさん、仕事なんだって。」

「そうだったの…」

さゆみは思った通り上機嫌だった。
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