恋は天使の寝息のあとに
「……後悔を、しているのですか?」
思わず口から飛び出してしまったその言葉にしまったと思い、ごくりと息を飲んだ。
こんなこと、私が聞いていいことではない。
が、彼女は嫌な顔をすることもなく、あっさりと首を縦に振った。
「恭弥とは長いから、簡単に割り切れるもんじゃないのよ。
少なくとも、今の夫よりはよっぽど愛おしく感じられる。
……でも、そう思えるのは、きっと二人の間にそれなりの距離があるからかもしれないわね」
哀しい愛の告白に、どうしていいかわからない私は、膝の上に置いていた拳をぎゅっと握り締めた。
だから、ずっと恭弥のそばにいるんですか……?
だから、恭弥の隣にいるときは、指輪をしていないんですか……?
彼女が結婚していると分かったところで、私の胸の中に湧き上がってしまった嫉妬心が収まることはなかった。
だって、彼女が恭弥を愛していることには変わらない。
恭弥自身は、彼女のことをどう思っているのだろうか。
そんな私の考えが、顔に出てしまっていたのかもしれない、里香さんは私を覗きこみながら言った。
「私が恭弥の隣にいるのは嫌?」
胸の内を射抜かれたような気がして、私はどきりと身体を震わせた。
里香さんを見ることができないまま、慌てて首を横に振る。
「……そんな――」
「……そうなら、ちゃんと彼を縛り付けておけばいいのに」
彼女の言葉にぎょっとして、私は顔を上げる。
里香さんは変わらぬ笑顔だったけれど、なんだか少し呆れたような顔をしていた。
「恭弥にプロポーズされたんでしょ?」
思わず口から飛び出してしまったその言葉にしまったと思い、ごくりと息を飲んだ。
こんなこと、私が聞いていいことではない。
が、彼女は嫌な顔をすることもなく、あっさりと首を縦に振った。
「恭弥とは長いから、簡単に割り切れるもんじゃないのよ。
少なくとも、今の夫よりはよっぽど愛おしく感じられる。
……でも、そう思えるのは、きっと二人の間にそれなりの距離があるからかもしれないわね」
哀しい愛の告白に、どうしていいかわからない私は、膝の上に置いていた拳をぎゅっと握り締めた。
だから、ずっと恭弥のそばにいるんですか……?
だから、恭弥の隣にいるときは、指輪をしていないんですか……?
彼女が結婚していると分かったところで、私の胸の中に湧き上がってしまった嫉妬心が収まることはなかった。
だって、彼女が恭弥を愛していることには変わらない。
恭弥自身は、彼女のことをどう思っているのだろうか。
そんな私の考えが、顔に出てしまっていたのかもしれない、里香さんは私を覗きこみながら言った。
「私が恭弥の隣にいるのは嫌?」
胸の内を射抜かれたような気がして、私はどきりと身体を震わせた。
里香さんを見ることができないまま、慌てて首を横に振る。
「……そんな――」
「……そうなら、ちゃんと彼を縛り付けておけばいいのに」
彼女の言葉にぎょっとして、私は顔を上げる。
里香さんは変わらぬ笑顔だったけれど、なんだか少し呆れたような顔をしていた。
「恭弥にプロポーズされたんでしょ?」