恋は天使の寝息のあとに
『……寝坊して、テレビ見ながらのんびり朝飯食って……久しぶりに家の中掃除して……』
恭弥がたどたどしく語った、本当にこれといって何もない一日。
そのあまりのつまらなさに、私は思わず吹き出してしまった。
恭弥は『仕方ないだろ』と言って少しだけ声を苛々させる。
『ここんとこずっと、お前らと一緒に休日を過ごしてたから、一人だと何していいか分かんねぇんだよ』
きっと笑われるのに慣れてないんだろう、恭弥は照れくさそうに言った。
『お前の方こそ、どうだったんだ?』
「今日は、心菜を連れて皮膚科に行ったよ」
『ああ、そうか。どうだった?』
「うん、大丈夫そう。塗り薬貰ってきた」
『そっか』
私と彼がこうやって電話口で世間話なんて、今までなかったことだし、探り探りなのもバレバレで、ちょっとだけ気まずい雰囲気のまま会話が進む。
「あのさ、恭弥」
私は空気をひとつ、ごくっと飲み込んで、小さな覚悟をした。
「明日は、来てくれる?」
おそるおそるそう聞いて、彼の言葉を待つ。
『……ああ』
少しだけ考えるような間を置いたあと、いつものぶっきらぼうな声が返ってきて、ほっと胸を撫で下ろす。
「私たちのこと、面倒くさくない? 嫌にならない?」
『嫌だったら、最初から行かねぇよ』
「そっか」
そのひどく冷たい物言いが、どうしようもなく愛おしかった。
恭弥がたどたどしく語った、本当にこれといって何もない一日。
そのあまりのつまらなさに、私は思わず吹き出してしまった。
恭弥は『仕方ないだろ』と言って少しだけ声を苛々させる。
『ここんとこずっと、お前らと一緒に休日を過ごしてたから、一人だと何していいか分かんねぇんだよ』
きっと笑われるのに慣れてないんだろう、恭弥は照れくさそうに言った。
『お前の方こそ、どうだったんだ?』
「今日は、心菜を連れて皮膚科に行ったよ」
『ああ、そうか。どうだった?』
「うん、大丈夫そう。塗り薬貰ってきた」
『そっか』
私と彼がこうやって電話口で世間話なんて、今までなかったことだし、探り探りなのもバレバレで、ちょっとだけ気まずい雰囲気のまま会話が進む。
「あのさ、恭弥」
私は空気をひとつ、ごくっと飲み込んで、小さな覚悟をした。
「明日は、来てくれる?」
おそるおそるそう聞いて、彼の言葉を待つ。
『……ああ』
少しだけ考えるような間を置いたあと、いつものぶっきらぼうな声が返ってきて、ほっと胸を撫で下ろす。
「私たちのこと、面倒くさくない? 嫌にならない?」
『嫌だったら、最初から行かねぇよ』
「そっか」
そのひどく冷たい物言いが、どうしようもなく愛おしかった。