恋は天使の寝息のあとに
彼の唇が首筋を伝って、鎖骨の下に辿り着いたとき


ピンポーン――


玄関のチャイムが音を立てて、私たちはびくりと身体を強張らせた。

「誰か、きた」
私が慌てて彼を跳ね除けようとすると

「放っておけ」
恭弥はそう言って私の身体を再びソファへと押し付ける。


そんな私たちにお構いなしに

ピンポーン――

チャイムが再び鳴り響き、やがて


ガチャリ


玄関の鍵の開く音がした。


「!?」


さすがの恭弥も飛び起きた。
私たち以外に玄関の鍵を持っている人なんかいないのだから。

何!? 泥棒!?

身を強張らせる私に、恭弥はしーっと人差し指を唇に当て、ここにいろ、とジェスチャーする。
音を立てずに立ち上がった恭弥は、警戒しながらそおっと廊下を覗き込む。
< 130 / 205 >

この作品をシェア

pagetop