恋は天使の寝息のあとに
いつからだろう。
日に日に成長する心菜を、本当の娘のように錯覚するようになったのは。
辛いくせに、毎日笑顔で頑張る沙菜を、愛おしいと感じ始めたのは。
心菜のためになること、沙菜の助けになることを考え続けていたら、自分が父親になればいいんじゃないかなんて短絡的な考えに行き着いて。
いつの間にか、彼女たちが俺の中の一番になっていたから、こんな俺の人生でよければ、くれてやってもいいと思った。
だいたい、沙菜はいまいち頼りないし、誰かが近くで守ってやらなきゃ駄目だろう。
そして、その『誰か』を他人に任せたくはなかった。
それが俺の役目であって欲しいと、思うようになっていた。
これはあれだ、昔、里香に対して抱いていたのと似たような感情。
恋とか愛とかそういう、まずいやつだ。
恋愛っていうものは、壊れるから厄介で
俺と彼女の関係をそれに発展させるには、リスクが大きすぎた。
仮に彼女が俺を拒絶する日がきたとしたら
今の関係が壊れて、彼女はたったひとりの肉親をも失うことになる。
俺を頼れなくなってしまったら、今度こそ彼女はこの広い世界でひとりぼっちだ。
今の関係を壊すわけにはいかない。
この気持ちを悟られてはならない。
隠し通さなければ。
今まで通り振舞おう。
彼女にはちょっと冷たくするくらいでいいかもしれない。
俺は、心菜の足長おじさんくらいが丁度いい。
素直に『愛している。結婚してくれ』だなんてとても言えなくて
それでも彼女に、結婚するか? と試しに聞いてみたら、思いのほか怒らせてしまった。
俺はからかってなんかいないのに。
口づけの真似事をしてみせたのは
ただ単純に、本気で彼女の唇を奪ってやりたかったんだ。
日に日に成長する心菜を、本当の娘のように錯覚するようになったのは。
辛いくせに、毎日笑顔で頑張る沙菜を、愛おしいと感じ始めたのは。
心菜のためになること、沙菜の助けになることを考え続けていたら、自分が父親になればいいんじゃないかなんて短絡的な考えに行き着いて。
いつの間にか、彼女たちが俺の中の一番になっていたから、こんな俺の人生でよければ、くれてやってもいいと思った。
だいたい、沙菜はいまいち頼りないし、誰かが近くで守ってやらなきゃ駄目だろう。
そして、その『誰か』を他人に任せたくはなかった。
それが俺の役目であって欲しいと、思うようになっていた。
これはあれだ、昔、里香に対して抱いていたのと似たような感情。
恋とか愛とかそういう、まずいやつだ。
恋愛っていうものは、壊れるから厄介で
俺と彼女の関係をそれに発展させるには、リスクが大きすぎた。
仮に彼女が俺を拒絶する日がきたとしたら
今の関係が壊れて、彼女はたったひとりの肉親をも失うことになる。
俺を頼れなくなってしまったら、今度こそ彼女はこの広い世界でひとりぼっちだ。
今の関係を壊すわけにはいかない。
この気持ちを悟られてはならない。
隠し通さなければ。
今まで通り振舞おう。
彼女にはちょっと冷たくするくらいでいいかもしれない。
俺は、心菜の足長おじさんくらいが丁度いい。
素直に『愛している。結婚してくれ』だなんてとても言えなくて
それでも彼女に、結婚するか? と試しに聞いてみたら、思いのほか怒らせてしまった。
俺はからかってなんかいないのに。
口づけの真似事をしてみせたのは
ただ単純に、本気で彼女の唇を奪ってやりたかったんだ。