恋は天使の寝息のあとに
「……それ、疲れないか？　おとなしくベッドに寝た方が……」

「平気。心菜と一緒に寝ると、つぶしちゃいそうだもん」

「あっそ」

「……うん」

じんわりと彼女の重さを感じながら、俺は目を閉じた。
右肩からぬくもりが伝わってくる。

三年前の俺は、誰かに寄りかかられるのは嫌いで、他人の重みを背負って生きていくなんて冗談じゃないと思っていた。
だから結婚する気にもなれなかったし、里香のことは大切に思っていたけれど、彼女の人生を背負う決意まではできなかった。
あれから、誰かの役に立つことを覚えて、必要とされる喜びを知って、もたれられるのも悪くない、今ではそう感じている。

そう思えたのはきっと、彼女だったからだ。
俺を変えてくれた彼女に、そして彼女の子に、感謝している。

このふたりになら、文字通り、人生を捧げてもかまわない。


彼女が寝付くまで起きていようと思っていたけれど、彼女の隣はあまりに居心地が良くて、気がつくと眠りに落ちていた。

カーテンから朝日が差し込んで、俺が目を覚ましたときには、隣の彼女も安らかな寝息を立てていて、俺は少しだけほっとした。
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