恋は天使の寝息のあとに
バクバクと鼓動を騒がせる私をよそに、明るい音楽が辺りに響き渡り、開園式が始まった。
子どもたちが手を繋いで校庭の真ん中へ入場する。
心菜は上級生のお姉さんに手を引かれて、たどたどしい足の運びで入場する。
「沙菜」
突然、恭弥の低くて艶めいた声が私の耳元で響いて動揺した。
吐息が頬を掠めて、そのあたりがぞくりと痺れて、私の顔は熱く火照りだす。
「な、何?」
不覚にも声が上ずってしまった。
が、そんな私を気にとめる様子もなく、恭弥は校庭の方へ視線を投げながらこっそりと囁いた。
「心菜が一番美人だな」
……
「……それ、親バカって言うんだよ?」
「知ってる」
拍子抜けして、緊張もどこかに吹き飛んでしまった。
確かに、たくさんいる子どもたちの中で心菜だけが特別可愛らしく見えた。
まるで天使のよう。ここにいる全ての親が我が子を同じように感じているのだろう。
きっと子どもが産まれたその日、親には魔法が掛けられるのだ。
我が子が一番可愛く見えてしまう魅惑の魔法。
自分の子どもを、他の何よりも誰よりも大切に育てられるように。
恭弥にもその魔法がかかってしまったのかもしれない。
父親でもない恭弥にとって、それはアクシデント。でも、私にとっても、心菜にとっても、嬉しいことで。
こうしてそばに寄り添いながら心菜を眺めていると、本当の家族に――
――夫婦になったような気がしてしまう。
子どもたちが手を繋いで校庭の真ん中へ入場する。
心菜は上級生のお姉さんに手を引かれて、たどたどしい足の運びで入場する。
「沙菜」
突然、恭弥の低くて艶めいた声が私の耳元で響いて動揺した。
吐息が頬を掠めて、そのあたりがぞくりと痺れて、私の顔は熱く火照りだす。
「な、何?」
不覚にも声が上ずってしまった。
が、そんな私を気にとめる様子もなく、恭弥は校庭の方へ視線を投げながらこっそりと囁いた。
「心菜が一番美人だな」
……
「……それ、親バカって言うんだよ?」
「知ってる」
拍子抜けして、緊張もどこかに吹き飛んでしまった。
確かに、たくさんいる子どもたちの中で心菜だけが特別可愛らしく見えた。
まるで天使のよう。ここにいる全ての親が我が子を同じように感じているのだろう。
きっと子どもが産まれたその日、親には魔法が掛けられるのだ。
我が子が一番可愛く見えてしまう魅惑の魔法。
自分の子どもを、他の何よりも誰よりも大切に育てられるように。
恭弥にもその魔法がかかってしまったのかもしれない。
父親でもない恭弥にとって、それはアクシデント。でも、私にとっても、心菜にとっても、嬉しいことで。
こうしてそばに寄り添いながら心菜を眺めていると、本当の家族に――
――夫婦になったような気がしてしまう。