消えた帽子の行方
青年はスチャッとズボンのポケットから携帯電話を取りだし、耳に当てた
え、ちょっと待って
死人に救急車はいらないよ
『私幽霊だから大丈夫です』
『…幽霊だったら』
と、青年は私の左胸を指差しながら言った
『心臓止まってるっての』
『え?』
胸に手をあててみると
確かに規則正しい心音が聞こえる
『うーん?は?うーん…』
どうして?なんで?
頭上にはてなマークを浮かべ、うなっていると
『馬鹿』
青年とは違う声が聞こえた
今人のこと馬鹿って言わなかった?
声がした方をみると、青年の後ろに今度は小さい男の子がいた