消えた帽子の行方
『あの吉井さん』


私の呼びかけに彼はチョコを割るのをやめ、こちらに視線を移した


『ん?どうした』


『カレンダー間違ってます』


『は?』


『今2006年じゃなくて2015年ですよ』










『…何言ってんの?』



彼はまるで初めて出会った時のように私を怪しむ目を向けてきた






私が「は?」だよ




『やっぱ打ち所悪かったかなぁ』


なんて呟いているけど、おかしいのは君の方だ



『…』


『…』


お互いがお互いを探るかのように見つめていた










しばし沈黙が続いた





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