消えた帽子の行方
その沈黙を破ったのはカオルくんだった
『…もしかしてお姉ちゃんは』
『未来から来たの?』
突然今まで黙っていた吉井さんが
『…ふっカオル何言ってんだよ、んなわけないって』
笑いをこらえながら言った
未来から?
ということは、だ
私は過去に来たの?
いやいやそんな非現実的なこと起こるわけない
私が何も言えずにいると
カオルくんはムッとして
『じゃあお姉ちゃん。何年生まれ?』
『え?えーっと…1998年』
『次!兄ちゃんは?』
『え、…ああ1988年』
『『はあ?』』
『嘘つくなよ』
『ついてないですよ』
『それじゃお前まだ…』
何か言いかけた吉井さんを遮るようにしてカオルくんが
『そっかー!未来の人と会えるなんてなぁ』
『ちょっと早いけどサンタさんからのクリスマスプレゼントかな?』
キラキラした目で見つめながら言った