消えた帽子の行方
『オイ!!しっかりしろ』
『……誰?』
『大丈夫か!?』
目を開けると私と同じくらいの歳の青年が心配そうに私を見ている
『よかったー、起きなかったらどうしようかと思った』
はぁ、とため息をついて青年は微笑んだ
私はというと今の状況がいまいち把握できないでいた
『起き上がれるか?』
『あ、はい』
青年が背中を支えてくれたお陰ですんなり身体を起こすことができた
改めて自分の周りを見てみると
ん?
そこは海の中、なんていうことはなく
断崖絶壁、というわけでもない
白い壁のアパートや木造の一戸建ての家が建ち並び
左右には何台か車が停められている
ただの駐車場だった