突然来た同居人。



「ちょっと来て。」



あたしは知らぬ間に腕を掴まれ、教室から出ていた。




「えっ、なに。


啓介くん?」




無言のまま連れてこられたのは屋上。




ここ入ってよかったんだ。




「あの……なに?」



「碧とケンカしたんだって?」



「……別にしてないよ。」




「あいつはケンカだって言ってた。


すっげー避けられてるって。」




「………だから?」




「許してやれば。」




「あたしが悪い?」




「そうは言ってねーけど。」




「啓介くんにそう言われて切り替えられるなら、朝ちゃんと切り替えたよ。



でも無理だった。


だから啓介くんの言うとおりにはできないよ。」




「じゃあ別れんの?」




「別れない。


あたしは別れたくないよ。


あとは碧次第でしょ。


今だってなんで啓介くんが来るの?


仲直りしたいなら直接来ればいいのに。


話だって、朝一緒にご飯食べたときにすればよかったのに。


なんでこのタイミングで啓介くんがくるのかわからない。


あたしとここにいるとまた紗希が怒るよ。


啓介こそ、早く紗希に謝りなよ。」




「俺そんな悪いことした?」



「そう聞かれるとそうでもないけどね。


でも嫌なものは嫌だよ。



好きになるのは勝手だけど、それを紗希に言うのはどうかと思う。」



「なるほどね。」




「じゃああたしもう行くから。


朝は紗希を貸してくれてありがとね。」




あたしはそれだけいって教室へ戻った。



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