涙の雨と君の傘
「好きだよって言われても、ウソつきって思う。だってそうじゃん。好きならなんで浮気すんの?」


でも、そこからが私のバカなところ。


アイツはこれだけ浮気しても、彼女は私だけだって言う。

実際アイツの周りの友だちもそう思ってるし、浮気はするけど私以外に特別な存在を、アイツは作ったことがない。

浮気はしても、別れようとは絶対に言わない。


だったら、私のことを好きなのは、本当なんだって。

好きなのは私だけっていうのも、本当なんだって。


そう考えたら許してしまう私は、救いようのないバカだ。


アイツはたぶん、浮気しても私が許してしまうことを知ってるから浮気するんだ。


そんなことわかってるのに。

わかってるのに……。


「なんで嫌いになれないの? どうしたら嫌いになれるの? こんなんじゃ、いつまで経っても別れられない……」


こんな関係つらいだけなのに。

すごくすごくしんどいのに。


アイツから女の匂いがすると、吐きそうになるくらいなのに。



目にいっぱい溜めていた涙が、ぽろりとこぼれる。

するとそっと、隣りから白いハンカチが差し出された。


そこで私はようやく、窓から隣りへと視線を移した。
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