Happy Christmas♪
「俺、ヤキモチ妬いた」
「えっ?」
ヤキモチって、隼人お兄ちゃんが誰に妬くのよ。
首を捻って隼人お兄ちゃんの顔を見上げたら、困ったように
「陽菜ちゃんが聖の友達…高校の先生って奴のことを楽しそうに話してるのを聞いて。舞台の上からも見えてたんだよな。陽菜ちゃんが隣の席の男と笑いながら話してるのが。でもその先生の横に女性が座ってたからてっきりカップルだと思ってたから」
「お兄ちゃん」
「あ~マジにかっこわりぃ」
いつものくだけた隼人お兄ちゃんに戻っている。
「フフフ…お兄ちゃんも普通の人なんだ」
「当たり前だ」
「私、お兄ちゃんはスーパーマンだって子どもの頃は思っていた」
「ん?俺がスーパーマンだって?」
「うん。ほらいつも私が何を聞いてもちゃんと答えてくれたし色んなことを教えてくれたじゃない。覚えてる?」
「何を?」
「小さい頃にたこ焼きを引っくり返すのを教えてくれた」
「あ、あぁ。陽菜ちゃんたこ焼きをクルクルしたいって。あれはまだ3つか4つくらいの時か」
「うん。お兄ちゃんや悠ちゃんにからかわれて泣いてると助けてくれたし遊んでくれたし勉強も教えてくれた」
「そんなこともあったな」
「うん。お兄ちゃんや悠ちゃんのヒーローで、野球選手になってからも凄くて私にはずっと憧れのスーパーマンだったからヤキモ チ妬くとかなんてないって」
ましてや私に対してなんて。
「俺は極々普通のどこにでもいる男だよ。ヒーローでもスーパーマンでもない。まして今の俺は陽菜ちゃんに振り向いてもらおうと躍起になって空回りしてる只の男に過ぎない」
「えっ?」
その言葉に反射的に首を回して顔を見上げると…
いつもの柔和な顔じゃなく怖いくらいの真剣な…
まるでバッターボックスでピッチャーに対峙している時のような。