Happy Christmas♪



「どうした陽菜ちゃん?難しい顔をして」

えっ?

あ、いけない。

「ううん、大丈夫です。もう一曲弾きましょうか?」

「一曲だけでなく陽菜ちゃんの好きなだけ弾いて。お客様も喜ぶから」

「はい」

ジュースを飲み干し再び鍵盤に向かう。

クリスマスシーズンに必ず耳にするJポップのスタンダードナンバーを何曲かメドレー。

弾き終わると背後から拍手が。

振り向くと、日焼けしたいつもの笑い顔。

「隼人お兄ちゃん、いつ来たの?」

お店に入って来たの全く気づかなかった。

「ん、ドアを開けたら陽菜ちゃんが嬉しそうにピアノを弾いてい たから久しぶりに聴かせてもらったよ。相変わらずピアノを弾い てる陽菜ちゃんはいい顔をしてるな」

「あ、そ、そうかな」

がらにもなく赤くなるよ。

小さい時から隼人お兄ちゃんに褒められるのは慣れてるのに。

てか、無理矢理褒めさせてたんだけど。

ほんと、子どもの頃を思い返すと滅茶苦茶恥ずかしい。

あの我が儘な子どもだった私をよく嫌な顔もせず相手をしてくれたもんだわ。





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