NIA 〜紅い糸が切れるまで〜
「どうだ、貴族様。
落ちこぼれに傷ものにされたご気分は?」
「貴様っ…」
再び襲いかかりそうな男に対して、ルナは冷静だった。
「これ以上やる気なら、遠慮はしない。
それでもいいんだな、ベガ・イルファーン」
男…ベガは無言で親指で傷を撫でると、自分が不利に思ったのか、剣を手放した。
それを見てルナも刀を納める。
「去れ。
そして二度と、この部屋に…コイツに近づくな」
「…嫌だと言ったら?」
男が吐き捨てる、最後の抵抗。
ルナは何も答えなかった。
ただ、黙ってベガを見据えるだけ。
その迫力は、離れている私も凍らせるほどに鋭い。
「わかった…肝に命じておくよ。
…一応ね♪」