NIA 〜紅い糸が切れるまで〜
『君は、他の子とは違うんだ』
暖炉の部屋で言われた、ルチアさんの言葉が蘇る。
「お前は、他の奴らとは違う」
真摯な眼。
あの時のルチアさんの眼が、再び私の前に現れているようだった。
似ても似つかないと思っていた二人が、親子なんだと初めて心から思えた。
「お前は、“スーノ”だ。
何万人に1人と言われる、選ばれし者だ」
ルナの手から、マグカップが離れる。
カップは床に落ちることなく、宙を漂った。
「人間であり、吸血鬼と同じ。
最高の血と、最高のNIAをもつ存在…それが、お前だ」
風が吹いた。
心の中に、吹いた風が私の心をザワザワと不安にさせる。
まるで、辺りの見えない暗闇の中を、置き去りにされたかのように。