NIA 〜紅い糸が切れるまで〜
男の人…ルチアさんに連れられてやって来たのは、小さな図書館。
規模は小さいけど、たくさんのジャンルの本が、所狭しと並べられている。
本が好きな私は、目を瞬かせて、頬を上気させた。
「ーー誰だ」
男の声がした。
あまりの鋭い声に、射抜かれたように私の身体は動かなくなった。
「やぁ、やっぱりここにいたね。
ほらほら、そんな顔しないで。
新しい子を紹介しに来ただけだからさ」
「親父…」
え…親子…?
嘘、ルチアさんすごく若く見えるのに、こんなに大きい息子さんがいたんだ…。
「この子はルナ。
私の自慢の息子でね、今日から君と同じ寮生だ。」
ルチアさんに背中を押され、ルナと呼ばれた彼は、私を睨んで、それから舌打ちした。
「あはは、少し人見知りなんだ。
ま、そんなとこも可愛いだろう?」
いやいやいや。
人見知りというか、明らかな敵意を感じるんですけど…。
同じ寮生って…大丈夫かな。
仲良くなれる気がしない。