NIA 〜紅い糸が切れるまで〜
どういう意味だろうと、問いかける暇もなく、美男子はくるりと背を向けた。
ルチアさんも、わかっていたかのように、別の場所へと足を向ける。
それからルチアさんは、談話室や食堂や、プレイルーム(ジムのようなもの)。
それぞれの教室、中庭、裏門、さらには秘密の通り道など、全ての場所を余すことなく私に紹介してくれた。
そして今、部屋いる。
どうやらここが、私の部屋らしい。
大きくもなく、小さくもなく。
生活するのに必要最低限の家具が置かれていた。
「一通りのものは揃えておいたから。
何か足りないものがあれば、遠慮なく言うといいよ」
足りないものなんてない。
以前の暮らしを思えば、この部屋は十分すぎるくらいだ。
「気に入ってくれたようで、嬉しいよ。」
ルチアさんは、そう言って笑った。
よく笑う人だった。