NIA 〜紅い糸が切れるまで〜
その日の真夜中。
ノックの音で目が覚める。
こんな時間に誰だろう。
雪は止んだものの、夜は一段と冷え込んだ。
素早く羽織りを来て、ドアノブに手を掛ける。
すると、待っていたと言わんばかりに、反対側から乱暴にドアが開かれた。
「はぁ〜い♪初めまして…」
知らない顔。暗闇の中で浮かぶ、怪しげな笑み。
自然と、私の体は後退する。
刹那、男の片手が私を捉えた。
凄まじい力に、顔をゆがませる。
そんな私に、男は愉快そうに微笑んだ。
「キミが噂の、選ばれし者?
だとしたら、ショックだなぁボク。
だってキミ、全然普通の子じゃん。
あ、もしかしてまだNIAが使えない、とか?」
何のことだろうか。
聞きなれない単語に眉を寄せると、男はまた微笑んだ。
「ビンゴ☆」
男は力ずくで私の部屋に入ると、ベッドへ押し倒した。
片手で私の両手が頭の上で固定して、男は何のためらいもなく私に跨った。
男の目は冷たかった。
電気の付いていない部屋でも、感じられるほどに。