NIA 〜紅い糸が切れるまで〜
もうだめだと、目を固く瞑ったとき、
「ーーそこまでだ」
一閃が脳裏をかすめた。
「こんなところで何をしている、ベガ・イルファーン。
場合によっては、尋問室行きだ」
突然差し込む光。
押し倒されて声の主は見えないけれど、聞き覚えがある。
「あっちゃ〜。見つかっちゃったか」
悪びれる様子もなく、男は私を解放し、身軽にベッドから飛び降りた。
その身のこなしはとても綺麗で、まるで彼の背中に翼があるように感じられた。
「やぁ、ルナードくん。
夜の巡回お疲れ様☆」
「何をしていたと聞いている」
ルナード…?もしかして、ルナ?
ルナが、助けてくれた…?
「も〜、怖いなぁ。
ちょっとした好奇心だよ、好奇心♪
あわよくば、噂の姫君の血の味を味わいたかったけど、ね?」