NIA 〜紅い糸が切れるまで〜

もうだめだと、目を固く瞑ったとき、


「ーーそこまでだ」


一閃が脳裏をかすめた。


「こんなところで何をしている、ベガ・イルファーン。
場合によっては、尋問室行きだ」


突然差し込む光。
押し倒されて声の主は見えないけれど、聞き覚えがある。


「あっちゃ〜。見つかっちゃったか」



悪びれる様子もなく、男は私を解放し、身軽にベッドから飛び降りた。


その身のこなしはとても綺麗で、まるで彼の背中に翼があるように感じられた。


「やぁ、ルナードくん。
夜の巡回お疲れ様☆」


「何をしていたと聞いている」


ルナード…?もしかして、ルナ?
ルナが、助けてくれた…?


「も〜、怖いなぁ。
ちょっとした好奇心だよ、好奇心♪
あわよくば、噂の姫君の血の味を味わいたかったけど、ね?」


< 8 / 19 >

この作品をシェア

pagetop