ささやかな幸せ
ささやかな幸せ
図書館一階の閲覧スペースで毎日新聞を読んでいると、
ふらっと彼が現れ日経新聞を手に取る。
「こんばんは」
「こんばんは」
互いに無言でそれぞれの新聞を読んでいるだけ。
でも
彼だけと時間と空間を共有できる
ほんの10分ほどのささやかな幸せ。
18:15。
サークル活動の始まる時間。
「そろそろですよ」
「もうそんな時間ですか」
彼は気怠そうに新聞をたたみ、私と共に3階へと向かう。
私は密かに彼が来るのを期待して、
今日も図書館で新聞を広げる。