先輩、私のこと好きになってくれますか?
「ふふ、この先輩楽しそう」
「………」
あれから数十分。
私はずっとアルバムの感想を言ってるけど、
先輩は“そうだね…”とか“…うん”って
なんだか上の空状態。
……明らかに空気悪い…!
「先輩、さっきからどうしました?
先輩らしくないですよ?」
「柚乃ちゃん」
「は、はい?」
びっくりした。
いきなりまっすぐな瞳で見られるんだもん、
逸らすことなんて出来ないよ。
「約束して」
いつもより、ちょっと強い口調の先輩。
やっぱり、先輩らしくない。
「自分のこともちゃんと考えるって、
人のこと優先するのは柚乃ちゃんのいいところでもあるけど、それで自分を殺しちゃダメだよ」
「……はい」
「あと、柚乃ちゃんは柚乃ちゃん。
他の人は他の人。忘れないで」
「先輩……」
「さ、続き見ようか!」
いつも通りの大翔先輩に戻って、
いつも通りの優しい笑顔。
さっきのちょっぴり怖い先輩はなんだったのか分からないけど、
多分、心を読まれてたのかな。
うん…約束します。
ちゃんと、私自身も、大切にするって。