先輩、私のこと好きになってくれますか?
「なー」
「なに?」
屋上に着いてすぐ、陽七汰に話しかけられてドキッとした。
「すれ違う人たちさ、
柚乃のこと見てコソコソ話してたけど、
あれなに?」
「あー…えっと……。
この学校の王子様と仲良くしてて、
その逆恨み、みたいな」
「…ふーん」
…自分から聞いといてその反応!?
まあ、相変わらずだね。そういうところ。
「で、もう“陽七汰”って呼んでくれないの?」
「何言って…」
「俺さ、この学校に来て、教室入って、
柚乃を見たときビビったよ。
柚乃は都内トップの高校に行きたいって言って
一緒に頑張ろうって言ってたから。
ここにいるとは思わなかった」
もしかして…私がここにいないかと思って
この高校に転入を……?
私がここの高校にしたのは、
受験に失敗したわけでもなかった。
ただ、トップの高校の受験をしなかった。
不純な理由だとは思ってるけど、
陽七汰と目指そうとした学校だったから。
思い出してしまいそうで、嫌だったんだ。