先輩、私のこと好きになってくれますか?





「そっちこそ…もう帰ってこないって…」



「ああ、言ってたな。
父さんが死んだんだ。」



「え……」



陽七汰の口から出た言葉は、
私の思考を停止させるには十分だった。

今日は、考え事が忙しい。



「交通事故でな。
そういえば、柚乃、父さんとも仲良かったよな」



そう、陽七汰のご両親とは結構仲が良かった。

と言うのも、よく陽七汰の家にお邪魔させてもらってた。

数人で行くときもあれば、
私1人で行くこともあった。



だから、陽七汰のご両親とは何度も顔を合わせてて…
柚乃ちゃん、いらっしゃいって笑顔で迎え入れてくれていたのに…。



「ウソ、だよね…?」



「ウソついてどうすんだよ。
雪の日、路上凍結してスリップしたトラックが父さんの車に突っ込んだんだ。
即死だったらしい。」



信じられない。



信じたくない。



陽七汰が転校した日、
私は陽七汰を避けて会うことが嫌で、

感謝もなにも、伝えられてないのに。





< 159 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop