先輩、私のこと好きになってくれますか?
大翔先輩は苦笑いしながら、騙された。なんて言ってる。
「でも…理央くんは、協力してくれただけです」
「え?」
鞄を手に持って、大翔先輩に近づく。
身長差の分、顔を上げるのがしんどくて…
でも、大翔先輩はすぐに屈んでくれるんだ。
「…あの….」
「なぁに?」
頑張れ、私。
「先輩、私のこと好きになってくれますか?」
恥ずかしくても、顔が真っ赤になっても、
目は逸らさずにそう伝えた。
大翔先輩はやっぱり驚いてて…
わ、私もそろそろ限界…!!
「あの、それだけ…です。
呼び出してすみませんでしたっ!!」
今いる方とは逆の方のドアから飛び出してそのまま走って昇降口に向かう。
「柚乃!」
靴を履き替えている途中、
理央くんが来て、どうだった?って心配そうに聞いてきた。
「言った…けど、大翔先輩驚いて何も発さなくて…。私が限界になっちゃって走ってきちゃった」
「…頑張ったな、お疲れ」
理央くんに笑顔でそう言われて、
ちょっとだけ、落ち着いた。