先輩、私のこと好きになってくれますか?
「すぐ分かったよ、柚乃ちゃんだ!って」
えへへ、なんだか嬉しいなあ!
「前半は俺自身もガチガチで緊張して、
キャプテンなのに何してんだろって思ってて、
でも柚乃ちゃん見つけた瞬間、なんだか力が抜けたんだ」
あんなに…遠かったのに。
先輩からしたら、私の姿なんて小さくて確認することは難しいはずなのに。
どうして見つけてくれたんだろう。
「まだ予選の初戦だけど、応援しててね」
「もちろんです!!」
周りにはサッカー部の人たちや女の子たち。
そりゃあ、すごい興味津々な眼差しや、睨んでるって言葉がぴったりな視線を浴びてるけど、
今はそんなこと、気にならなかった。
ただ、私に気づいてくれたことが嬉しくて、
ニヤニヤを抑えることに必死で…
絶対変な顔してる私を見て大翔先輩は笑ってるし
「…ねぇ、俺のことそんなに好きなの?」
「はい!」
恥ずかしさなんて、もうないですよ。
ただ、真っ直ぐに想ってるだけです。
「あはは、こっちが恥ずかしくなってきた」
そう言った大翔先輩の頬は、ほんのり赤かった。