captivate
『な…何コレ!!』


闘っていた敵兵が、断末魔の叫びを上げて闇に包まれ、消えていく。


倒した兵までも、だ。


この現状にゾッと鳥肌を立て、クレアは唯、口を覆うことしか出来なかった。


『クレア!!』


アリスが息を切らして駆け寄って来る。


『何が起きてるの?』


険しい顔で問い掛ける。クレアも同じ様に不可解な顔をして、闇に包まれた空を見た。


『わからない…
 ただ闇が…深いの…』


闇を感じて震える身体を自らの手で抱きしめ、クレアは唇をキュッと結ぶ。


闇の波動は深く、暗かった。


アリスは神殿近くの湖畔にある闇の集積点をじっと見据える。


その近くに光の波動を感じた。


漆黒の闇の中の淡い光――。


クリス・ヴァンガードの“黄昏の波動”だった。
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