captivate
神殿の入口には、太刀のはまる溝があった。


『なんだ?』


レオンが顔をしかめながら言う。


『太刀をはめるのですか?』


アルが顎に人差し指を当てながら呟いた。


クリスが扉に近付いて、腰から太刀・氷影を外す。


『クリス?』


『“氷影”はヤマト国の言葉で
 氷を意味する語が含まれてる
 ここは寒いし
 アーツが聖地の鍵なら』


ガコっと音を立てて太刀をはめる。


すると、神殿が揺れ、扉が明るい光を発しながら開き始めた。


『開いた…』


『クリス、見て!』


アリスの指差す場所に、氷の水晶体があった。


広間の中心にある水晶体。それが光を発して砕けた。


『…ようこそ氷の神殿へ』


水晶体の中から薄い光に包まれた女性が出て来た。


『私はアルテシア・ヨナルティス
 “零氷の魔女”です』


『な…』


全員が驚く。


それもその筈。その2つ名はクレアも持っているからだ。


光を纏った魔女は優しく微笑んで、クレアを見た。


『私の2つ名を継いだのは
 貴女かしら?』


『え?』


眼を真ん丸にしてクレアは驚く。


『ふふふ…
 零氷の波動が感じられます』


アルテシアは振り向いてクリス達を呼んだ。


『行きましょう
 封印をするのでしょ?』
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