captivate
寒空に無機質な高音が一定間隔で鳴り響く。


クリスは左腕をまくり、通信機のスイッチを押した。


『ヴァンガードだ』


『クリス?シュバルツだよ!』


『シュバルツ…どうした?
 お前は本隊に居るんじゃ…』


全員がクリスの会話に目をやる。


『クリスの部隊が戦ってるって
 本隊に通信が入ったんだ』


『そうか
 大丈夫、今終わった』


通信している隣でアルがふと呟いた。


『何処に展開するんでしょう』


『本隊か?』


レオンが髭を撫でる。


『まずはエスヴィアに展開かな?』


アリスが言う。


『その通りだ』


通信を終えたクリスが会話に加わる。


『エスヴィアは南と北の掛橋だ
 あそこは重要になる』


『じゃあエスヴィアに行く?』


クレアの問いにクリスが相槌を打ち、アルテシアを見る。


『行きます』


アルテシアは笑みだけを浮かべて、何も言わなかった。


レオンは右腕にある腕時計のスイッチを、森の方へ向けて押す。


するとニルヴァーナが唸りを上げてレオンの元へ飛んで来た。


『クレア、貴女は少し待って』


『?』
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