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ズルズル引きずられながら、クリスが見えなくなったことを確認してジェイナが口を開く。


『リノア…
 アンタあんな事言っちまって
 …話が違うじゃないか?
 クレアだって…』


『…ごめんなさい』


リノアが俯く。そして突然、エレノアが手を離す。


『闇に落ちる弟を
 心配しない姉など居まい
 …むしろ私はいいと思ってる』


ジェイナが魔女帽を取る。


『まぁねぇ…
 とにかくアノ子の黄昏の波動は
 限りなく闇に近い
 不安定なもんだよ?
 混沌の魔女の復活に
 繋がらないといいんだがねぇ』


混沌の魔女という単語にリノアはピクっとする。エレノアが溜息をついて口を開いた。


『ジェイナ…
 壁に耳あり、だぞ』


『あぁ…そうだねぇ
 申し訳ないね』


ジェイナはまだ俯いているリノアを見た。


『リノア…
 辛いのはお前だけじゃない
 少年が一番辛いはずだよ?
 姉のアンタがいじけてどうする?
 顔を上げな
 上向いて現実見据えて!
 クリスを引っ張ってやらないと』


肩を掴んで少し声を荒げながらリノアに話す。


リノアは空ろな瞳に少しばかり光を宿して頷いた。


『…ゴメンね、ジェイナ』


ジェイナが呆れた様に肩をすくめる。そしてリノアを抱き寄せた。


『ほれ泣きなよ』


ジェイナの優しさに思わず涙が流れる。


リノアは白い廊下で肩を震わせて涙を流した。


『クリスに…死んで欲しくないよ』
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