captivate
『じゃあ交渉人殿
 連合評議会に連絡だ
 商業連合に行こう』


クリスがニルヴァーナの停めてあるドッグに足を向ける。


『人遣いの粗いリーダーだ』


レオンが煙草の煙を思いっきり吐く。


『仕方ねぇよレオン
 コイツ俺達より強えもん』


ゼフィが無邪気に笑いながらレオンの背中を叩く。


『ゼフィが人を認めるなんて
 珍しいですね…』


アルが笑う。


『強い…か』


クリスは自分の掌を見た。


一度闇に堕ちかけた時のアノ感じが、自分の視線の当たる左手から離れない。クリスはギュッと左手を握り締めた。


『クリス?』


『どうかした?』


シュバルツとアリスが顔を覗かせる。


『あぁ…何でもない』


そう一言だけ残してニルヴァーナへと向かう速度を少し上げた。


『アリス…クリスおかしいよ?』


『…』


アリスはなんとなく感じてはいた。クリスの考えていること。


クリスの波動が“真の黄昏の波動”即ち“狭間の波動”では無く、限りなく闇に偏った不安定な波動である事に、焦燥感を抱いていると言う事に。


『アリス?』


シュバルツが何も応えないアリスを見ると、アリスは困った顔をした後に笑顔を浮かべた。


『きっと大丈夫だよ』
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