captivate
暗い空間。


済んだ水面。


静かに広がる波紋。


全てが静寂に包まれる中で、ただ一人水面に立つ。


『ここは…』


クリス・ヴァンガードは無限に広がる空間を見渡す。


『俺は…死んだのか』


自分が立つ足元―――水面に視線を落とす。そこには、数多の屍が沈んでいた。


『これは…!!』


清廉な水と、朽ち果てた屍。


その屍の中から、一人の男が泉から姿を表した。


『これがヴァンガードの歩んだ道』


俯いたまま、男は呟く。


『…あんたは』


クリスの問いに答えず、男は静かに刀を手にし、構える。


『…貴様もまた、道と成るか』


その言葉をきっかけに、沈んだ屍が剣に集まる。


怨霊が宿ったような漆黒の長刀が、鈍く輝く。


『死ね』
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