captivate
『オオオオオ!!!』


クリスに黒い刀が襲い掛かる。


『胸糞悪ィ…!』


黒刀の相手を見ると、帝国皇帝の事が頭に浮かぶ。


あの時、自分が闇に呑まれ、その力に酔いしれた事。


力を手にする時、悪魔の様な甘い囁きの正体が、古の軍神だった事。


忌まわしい開戦のキッカケからまだ日が浅いせいか、昨日の様に思える。


『受け入れろ…!』


黒刀による乱舞。


闇の空間に数多の剣線が閃く。


『!!!』


クリスはその剣技を知っていた。


『捌式・紅蓮…?』


クリスはバック宙で間合いを取って、男を見る。


男は今のクリスの言葉に反応し、刀を携えたままクリスを睨む。


『貴様…何故アーツを…!!』


今まで見えなかった男の顔が、ハッキリと見える。


その憎しみの篭った瞳の持ち主を、クリスは瞬時に理解した。


『あんた…ゼアノスか』


男は驚いた瞳を向ける。


『…何故、我が名を』


クリスは何も言わずに頭を下げる。


『初めまして、ゼアノスさん
 俺はクリス・ヴァンガード…
 あんたの末裔だ』


『何ぃ…?』
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