captivate
本陣の総司令官エレノア・エリザベスからの号は瞬く間に世界最大の平原を駆け巡り、本陣遥か後方の旗艦・グランディーネが静かに進軍を開始する。


連合軍三大旗艦の一つであるこの戦艦の周りには巡洋艦が6隻、中隊が10部隊配備されていた。


歩兵隊最前線に構えるロックは後方の空軍の動きを見て、自分が戦場に立つ覚悟を決める。


隣でシンディアも焔の波動を手に宿し、目の前に展開する、まだ小さく見える敵軍を見つめた。


連合軍将軍の責を負いながら、自らを最前線に置くその姿に、例えそれが女性だからといって甘く見る者は無く、敬意を払った眼差しで焔業を受け継ぐ者を見る。


先の戦いで陥落したエスヴィア出身の兵たちは、己の故郷を護るべく最前線で死闘を繰り広げた彼女の為にと、シンディアの突撃部隊と合流した程だ。


そんな彼女らの待機ポイントから敵空軍戦闘中隊が確認されたその時、シンディアは部隊の先頭に歩み出る。


『コレは魔女の闘いの前に
 世界を護る闘い
 覚悟を決めなさい!!』


決して大きな声ではなかった。


しかし彼女の言葉を口火に、連合軍陸軍歩兵部隊の士気が一気に沸点に達した。


『オオオオオオオオ!!!!!!』


シンディアは一歩を踏み出して一度ロックを見る。


『いつでもいいぜ、将軍』


その言葉に頷いて、紅の焔を手に宿し、シンディアは魔方陣を展開した。


『地対地戦迎撃用意』
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