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「クリス?」
白銀雪の間から出ようとしたクリスを、女王が呼び止めた。
「レオン。クリスタルパレス城門に待機しててくれないか?」
クリスはレオンにそう伝える。
「OK」
レオンはクリスの言葉通りに、クリスを残して白銀雪の間を出る。一方でクリスは再び女王の前に膝をついた。
「あ…そこではなく、こちらへ…」
ルーシャは執務デスクから立ち上がり、クリスタルパレスの中庭が見える、大きな窓へと向かった。クリスもそれに従い、女王の半歩右後ろに立つ。
「あの将軍が使った力…覚えていますか?」
「はい…無詠唱の…。ですが、男は魔術を…」
「ええ、使えません。ましてあれはルーンでも無い、本来あれは存在してはならない禁術。“闇系譜”と呼ばれる力です」
「闇系譜?」
その存在を、クリスは知らなかった。
ただ、その言葉を耳にした時、胸が確かにざわついたのを感じた。
「いいですか、クリス。この闘いが大きくなるならば、ヴァンガードの血族はその闘いの運命から逃げられません。もしかしたら自身を見失ってしまう事もあるでしょう。ですが…決して信じてきたものを見失わないで下さいね」
「…はい」
クリスが頭を下げる。
ルーシャは自らの人差し指に口づけをする。
やがて女王の人差し指に光が灯り、彼女はクリスの額にそれを当てた。
「瞬光の加護が貴方にあらん事を…」
白銀雪の間から出ようとしたクリスを、女王が呼び止めた。
「レオン。クリスタルパレス城門に待機しててくれないか?」
クリスはレオンにそう伝える。
「OK」
レオンはクリスの言葉通りに、クリスを残して白銀雪の間を出る。一方でクリスは再び女王の前に膝をついた。
「あ…そこではなく、こちらへ…」
ルーシャは執務デスクから立ち上がり、クリスタルパレスの中庭が見える、大きな窓へと向かった。クリスもそれに従い、女王の半歩右後ろに立つ。
「あの将軍が使った力…覚えていますか?」
「はい…無詠唱の…。ですが、男は魔術を…」
「ええ、使えません。ましてあれはルーンでも無い、本来あれは存在してはならない禁術。“闇系譜”と呼ばれる力です」
「闇系譜?」
その存在を、クリスは知らなかった。
ただ、その言葉を耳にした時、胸が確かにざわついたのを感じた。
「いいですか、クリス。この闘いが大きくなるならば、ヴァンガードの血族はその闘いの運命から逃げられません。もしかしたら自身を見失ってしまう事もあるでしょう。ですが…決して信じてきたものを見失わないで下さいね」
「…はい」
クリスが頭を下げる。
ルーシャは自らの人差し指に口づけをする。
やがて女王の人差し指に光が灯り、彼女はクリスの額にそれを当てた。
「瞬光の加護が貴方にあらん事を…」