captivate
ミストラル郊外騎士団本部。


クリスタルパレス建築直後に建設された、歴史的文化財としても名高いその本部棟から少し離れた格納庫入り口にロックが向かった。


その小さな受付窓に身を乗り出し、ゼフィは大声で管理室内に呼びかける。


「第7部隊ゼフィ・ロックハートだ。アレ、あるか?」


程なくして受付の窓越しに、すすけた髭面の漢が現れ、ロックをまじまじとみると急に豪快に笑い出した。


「オウオウ!!!おめえか!ハッハァ!なんでぇ、任務かい?」


漢は受付の部屋から出てきてロックに握手をしたかと思うと、背中をバシバシと叩く。


「ギル爺さん、痛ぇって!」


ギルと呼ばれた漢は輝く金歯の入った前歯を見せ、クリスを見る。


「お、ヴァンガードの坊主!姉ちゃんは相変わらず綺麗で羨ましいな!」


「ははは…」


この親父は…。


そう思いながら、豪快な整備士を前に、クリスはもはや苦笑しか出来なかった。


「ニルヴァーナだな?準備できてるぞ」


「しばらく借ります」


「持ってけ。アイツを乗りこなせんのはお前らしかいねぇよ」


ギル爺さんが指差したところに、その飛空挺はあった。


シャープなフォルムで、蒼空の色をした機体だ。


「飛空挺ニルヴァーナ。設計自体はクラシックだが、コイツに積んであるメイン回路、エンジン全部が全部最新鋭だ…お前らの為に存在する、お前たらの為のモノさ!」
< 31 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop