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「バージョンアップしたのか？」


「まぁな！」


ニカっと金歯を見せ、ギルが親指を立てる。


この飛空挺はクリス達のこなしてきた数多くの任務の助けとなった機体だ。そのため、蒼天の翼にとっては愛着を持って乗り込める、部隊の帰艦とも言える船だ。


「サンキュ、爺さん！今回もありがたく乗せてもらうぜ!」


ロックがそう言って声をかけてから乗り込んだ。


「オウ！気ぃつけなよ！…坊主！」


ギルの、クリスを呼ぶ声に、乗りかけていたクリスが立ち止まる。


「はい？」


近寄ると肩を組まれ、耳元で小さな声で囁かれた。


「今回の任務は聞いた。…あぁ、大丈夫だ。誰にも言ってねぇよ。…とにかく、だ。魔女ｻﾝは世界の希望だ。殺しちゃなんねぇし、死んじゃならねぇ。姉ちゃんを魔女に持つお前ｪさんなら、この意味がわかるな？」


「…わかってます」


ギルは豪快だが、騎士団がどうしなければならないかをいつも把握している偉大な人物だった。


「ならいい…守ってくれよ」


「…で？誰から聞いたんです」


とはいえ、機密事項が整備士のオヤジにまで漏れているのは問題だ。これは１０つの部隊を預かる、それぞれの隊長と総隊長の１１人しか知るはずはない。


「お前ｪんとこの隊長だ！７部隊の隊長にな！」


親指を突き立ててと笑うギル。


なにやってんだ隊長…。


クリス自身、今回の任務の重大さがわかっている故に、こんな事が目の前で起こっていることを思うと、少し任務に不安を抱かざるを得なかった。
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