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「うぎぎぎぎぎ…」


敵兵が銃口を向ける中、女の子が一生懸命に力を出してる様な声が聞こえた。


その緊張感のない、この場にそぐわない声と一緒に扉が動く。


殺気をギラつかせていた敵軍も、予期せぬ事態を巻き起こしている人間が、味方なのか敵なのか、検討つかず、戸惑いの色を隠せない。


「警戒しとけ…一応」


この展開に例外なく戦闘意欲が削がれていたクリスだが、中隊長である身分ということもあって警戒を解くのは早いと判断した。


広間中の人間が見つめる中で、目先の扉が止まる。


それと共に、広間に訪れるしばしの静寂。


そこに飛び込んで来たのはダークスーツに身を包んだ、女の子だった。


「ふ〜。重いよコレぇ〜!」


さっきまでの深刻な事態が嘘みたいな、拍子抜けする展開だったが、敵兵が怒号をあげた。


「あの女も不審者だ!打てェ!」


扇状に展開される敵兵の機関銃が、一斉に火を吹いた。


クリス、ロック、レオンは即座に障壁を展開し、数多の弾丸の雨をやり過ごす。


「君達は…ヨーツンヘイムの人?」


展開した障壁の中に、先程の女の子の姿が、突然現れた。


「何者だ」


「待ってよ!味方だって」


女の子は腕を組みながら怒った口調になる。


そして彼女は口を開いた。


「北の共和国国立諜報機関、通称ノース所属、レナ・ディクセン、22歳!小柄だけどキミよりも1歳お姉さんだからね?
クリスくん?」
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