captivate
目の前に瞬く間に広がる人海。一人一人倒していっては、まず逃げ切れない。


その為に後陣でのアルがルーンを展開し、最後尾に位置するレオンが、容赦無く槍を雨の様に放ち続ける。


「さすが最強の槍」


「黙れ。貫くぞ」


ロックの挑発が、余程気に喰わなかったのだろう。レオンは一心不乱に槍を錬成し、敵陣に繰り出す。


やがて、歴代皇帝が一同に会する大廊下に差し掛かった。それでも敵兵が途絶える様子はない。


「ニルヴァーナは?」



「大丈夫だ。いつでも発進出来る様、メインエンジンはアイドリング状態にしてある」


「発着ベイに着いたら、すぐに出るぞ」


大廊下はあと半分…。


ひたすら突き進むクリス達。ようやく人海の波は落ち着いて行き、あと少し倒せば切り抜けられる。


「青・紫。蒼天の空に閃。怒りの権化と破壊と破滅。瞬く万雷を刹那の懺悔に為さん。“雷帝の一撃<ミョルニル>”」

アルの唱えたルーンで、雷の塊が大地にぶつかり、大きな衝撃波を出す。


「うわぁぁあぁあ!」


「馬鹿者!引くなぁ!」


余りの衝撃の大きさに、敵は部隊としての機能が完全に停止する。


それを見逃すことなく、レナ、アルを先頭に敵陣を切り抜ける。


「最期の締めだな…“槍よ”」


レオンが片手を振り降ろすと、数百本の槍が雨の様に降り、壁を作る。


「じゃあな、ルグラン兵」


レオンはそう言い残して味方を追い掛けた。
< 56 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop