captivate
ロックとレオンは休憩室を出てコクピットに向かう。


その二人をアルが眺めながら言う。


『そういえば、レナ
 貴方の家名もディクセンでしたね』


レナが笑う。


『私の家系は歴史ないから
 帝国とは関係ないかな?
 でも…家名って…重いんだね』


クリスが鼻で笑い、口を開く。


『大抵の場合は
 そこまでじゃないけどな』


『そっか…』


ヴァンガード家に生まれたコトに憎しみはなかった。


ただ、自分の身体の中に誰かが居る、と言う違和感。


本来ならば気のせいで終わって欲しかったコトは最悪の真実としてクリスに降りかかる。


結界の中で闇に包まれ、耳にした声が頭から離れない。


力を欲し、得た力。


それが護る為ではなく、破滅の力に似通っているというコトが、闇の力を根源にしているかの様に思わせる。


クリス・ヴァンガードは自分自身の内に秘める闇の深さに恐怖を抱き、ただ歯を食いしばって、闇に飲まれないように必死にこらえるしかなかった。


彼の前に夕日に染まる海が窓越しに広がる。


クリスは夕日による光よりも暗闇を捜してしまう。


そんな自分を自嘲するかの様に嘲笑った。
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