captivate
『エルグラドなんだって?』


気を遣ったレナに、クリスが声をかける。


『その人がいるとこ?
 そだよ?
 町外れの屋敷に住んでるの』


レナは猫舌なのか、まだ紅茶の熱と格闘している。


『そうか…どんなやつ?』


報告書を一通り書き終え、万年筆を置き、尋ねた。


『キミと同い年じゃない?
 21歳の綺麗な女の子だよ?』


『へぇ…』


<あいつと同い年…か>


昨夜思い出した顔が脳裏に浮かぶ。


『会うのが楽し…
『ああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜
 よぉぉく寝たぜぇぇ!!!!!!!!』
 ………………………』


会話の間に大きな叫びが聞こえ、クリスの話す意欲が削がれる。


『だ…誰?』


レナが大きな声に言葉を失う。


『…ロックだ』


クリスが不機嫌そうに呟くと、ライオン頭の男が近付いてくる。


『朝から何イチャイチャしてんだ?』


豪快に笑いながらクリスの背中をバシバシ叩く。朝とは思えない程声がでかい。


『おまえうるさ…
 『うるさぁい!!!!!!』
 …………………あ〜あ』

ベッドで寝てたはずの3人が一斉に怒号をあげた。
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