captivate
『さて…本題に移ろう』


もう一度紅茶を口に含む。


『魂を切り離すのは
 とてもたやすいが…
 魂が闇を遺すかは不明だ
 闇がどうなるのかは
 …私に予測出来ない』


『…それでも構いません』

『ふむ』


顎髭を撫でながら時間を置いて考える。


『…アリス』


『はい?』


『お前が祓いなさい』


師に驚いた眼を向ける。


『私はもう剣を置いた
 そんな私をずっと護ってくれた
 お前は立派な後継者だ…
 最期に師として命ずる
 …魂を切れ』


『…はい』


アリスは頭を下げた後、クリスを見る。


『外に来て?』


『…頼む』


クリスは頭を下げるように、眼をつぶりながらソファから立ち上がった。


二人が広間から出たのをレナとシュバルツが追おうとする。


『待ってはくれまいか』


ソファからロキニスの重い声がする。


『二人だけでやらせてくれ
 君達にはこの老人の相手を
 してほしい』


そう言いながらクリスの仲間を見渡した。
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