captivate
湖の浜辺も、雪の薄化粧を纏っている。


2人の男は湖の冷たい漣に脚を濡らし、対峙していた。


『よぉ剣士クン
 あんた皇帝に何した?』


冬空にも劣らない冷たい視線で、右手首をプラプラさせながらクリスを挑発する。


『アンタには関係の無いことだ』


クリスは太刀を振り払い、男を見据える。


『…貴様、将軍か』


クリスが眼を細めて睨みつける。


『おお怖い怖い
 やめてくれよ…
 そんな睨みつけんなって』


男は眼を瞑って肩をすくませ、手を前に掲げて怯えたふりをする。


その行動に気が触れたのか、クリスは大きく眼を見開いて、闇の波動を纏った。


『うへぇあ…
 冗談通じねぇ奴だ』


男は舌をベロンと出してクリスから視線を外す。そして呆れた様に溜息をついて再びクリスを見た。


『帝国十将が一人
 空軍第2師団将軍
 ジェイミ-・ダームだよ』


そして言葉が切れたと同時に、クリスの視界から消える。


『闇系譜は持ってるぜぇ』


急に左後ろから声が聞こえる。クリスは即、振り返ると同時に太刀を振った。


再び2人を中心とした衝撃波が、周囲に広がった。
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