ヒーローのそばで。
私は、15年間生きてきて、初めてこんなに頭を働かせたんじゃないか、と思うくらい、脳みそをフル回転させて考えてみた。

「あ!!!三吉 新(ミヨシ アラタ)くん!」

思い出した。

昨日の自己紹介のとき、ちらっと見て、王子様みたいな人だと思っていた人だ。

「そうそう。思い出してくれた?」

三吉くんは優しく笑った。

「ご、ごめんね!昨日は隣のやつがうるさくて、よく聞いてなかったの……。」


私は、申し訳なくなって俯きがちに謝った。

「いいよ。気にしないで。全然、気にしてないし。」

優しい。

さすが王子様。


< 31 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop