ヒーローのそばで。
後ろを振り返ると、仁王立ちをして俺のことをきつい目つきで見つめる桜楽がいた。

「あんまりですよ!あの子がどれだけ緊張してあなたに話しかけてきたかわからないんですか!?」

そういうと、少しずつ俺に近づいてきた。

「あの女が悪い。俺のこと何も知らずに顔だけで好きとか……」

"女ってまじで最悪。"

そう言いかけてやめたのは、桜楽があまりにも悲しそうな顔をするから。

今にも崩れてしまいそうな、泣き出してしまいそうな、とても小さく震えるから。

「何か、怖いものでもあるの……?」

桜楽が小さな声で問いかけてきた。

何にもないよ、大丈夫だよ、そう聞こえてきた気がした。

「女嫌いってか、女が怖いんだ……」
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