ヒーローのそばで。
だいぶ昔の話、俺が4歳の時、ひとりっ子で寂しがり屋の俺は毎日母親に引っ付くようにしていた。

母親は、美人で料理も上手でいつも笑顔で前向きな人だった。

俺はそんな母が、大好きだった。

「ママ!ぼくね、おおきくなったらママのおっとになってあげるね!けっこんしよーね!」

「ふふ。うん。ママとけっこんしましょうね。」

そんな幸せだった日々。

でも、俺が大きくなるにつれて親同士が言い争うようになり、6歳になった頃には母親は俺たちから姿を消していた。

あとから、母親の浮気が原因で離婚したのだとわかった。

女は裏切る。

楽しかった時間を一瞬にして悪夢に変えてしまった。

その日から俺は、女が怖いんだ。

裏切られるかもしれないから。

怖い、怖いはずなのに、こいつだけは…………。


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