ヒーローのそばで。
桜楽は"どういたしまして。"と笑って言った。

ドキンッ

俺の胸が高鳴った。

今までの俺は、女なんかにこれっぽっちも感情なんて抱いたりしなかったのに、桜楽が笑うたびに脈が早く打つようになる。

「お、遅くなったし……送ってやるよ!」

とっさに口にした言葉だった。

桜楽はとても驚いた様子でこちらを見ていたがすぐに首を降り始めた。

「いいよ!大丈夫、家近いし!気を使ってくれてありがとう!」

首を左右に激しく振る桜楽を俺は強引につかんで引っ張る。

「ほら、早く行くぞ。暗くなったら危ねぇだろ。」

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