ヒーローのそばで。
悲しい顔には負けます。side桜楽
入学してから1ヶ月。
私たち花園学園はそろそろ、体育祭という大きな行事の時期になる。
まだまだ春は続くけど、最近はぽかぽかしている。
「工藤さん、体育祭のしおりの読み合わせがあるみたいだから、放課後に会議室に来て欲しいんだけど、来れそう?」
昼休み、日葵とお弁当を食べていたら、三吉くんから声をかけられた。
「そうなの?わざわざありがと~」
「いえいえ、それじゃ。」
三吉くんはニコッと笑って友達のところへ戻っていった。
今日もかっこいいな〜。
「さーくらっ!何、ニヤニヤしてんのよ!三吉くんがかっこいいからって~」
日葵がからかうように私に言ってくる。
「別!別にそんなんじゃないし!てか、日葵こそニヤニヤしないでよ!」
私が負けじと日葵に言い返したら、後から誰かにボールペンで頭を叩かれた。
「あたっ、ちょっ!なに!?」
頭を抑えて振り向くと、そこにはちょっと不機嫌そうな鏡原くんが立っていた。
「なに、お前また、三吉に王子様みたい!とかゆってんの?」