ヒーローのそばで。

俺達1年生は、4階建ての校舎の3階が教室らしく、1組から10組まである。

｢｢キャーーー！かっこいい！｣｣

俺が廊下を通る度に、そうゆう声が上がる。

うざい。うざい。

千聖もなかなか顔がいいので俺達ふたりは一緒に歩いているだけで、歓声が上がる。


なんて迷惑なこった。


教室について、俺達は自分の席を探した。

俺の席が1番後ろの席で、その前の席が千聖の席だった。

俺の隣の席は空いていて、まだ来ていないらしいが、女子ならめんどくさいなと思っていた。

席についても止まらない歓声と視線に寒気を覚え、音楽でも聞こうと携帯を探した。


ガサッ ガサッ

あれ？携帯が……ない……。

｢ん？どした？そんなカバンの中あ探って。｣

千尋は俺の前の席で清々しい顔でそう言った。